箱の中 (講談社文庫)
木原 音瀬
講談社
2012-09-14
2013-05-15 第5刷発行


手持ちの本を消化していってる最中ですが、家族につきあった古本屋で、前から気になっていた本を見つけたので、買ってしまいました。

でもこれは買って正解。
面白くて、続きが気になって、すぐに読み終えました。
その後なぜかパソコンに向かうモチベーションが上がらず、読み終えてから3週間ぐらい経ってしまっていますが、本をぱらぱら見て、思い出しながら感想を書きたいと思います。

痴漢の冤罪で刑務所に入った堂野が、そこで特殊な生い立ちの喜多川と出会い、物語は進んでいきます。

※ネタばれありの感想です。

まず、痴漢の冤罪とは、本当に恐ろしい状況に陥ってしまうんだということを改めて感じました。
そこで堂野にぐっと感情移入するわけです。
刑務所の中でも人に裏切られ、誰も信用できない。そんな中、一風変わってはいるけれど、喜多川の優しさに救われます。
喜多川の優しさは、ただただ堂野に褒められたい、という子どものような気持ちから来ているのですが、いかんせん生い立ちが生い立ちだけに、常識で考えられる行動とは少し違っていて、純粋か狂気かぎりぎりのところを進んでいます。それが、読者の興味をそそるのだと思いますが、人前でレイプした時点で、私は完全にアウトだと思いました。性的なことにしても、そうでないことにしても、本気で「やめてくれ」と言うことを聞き入れてくれない相手を、私はきっと許せないだろうな。
とは言え、この物語の魅力も、やっぱり喜多川の純粋さにあると思います。
堂野に関すること以外には欲がないところとか、時々見せる神様の存在を信じているような発言とか。
淡々として、純粋で、健気で。

最後、堂野の妻、麻理子があまりにもひどい女として書かれていたのには、ちょっと驚きました。
夫の友人が家に遊びに来ても、快くご飯を出していた人が、こんな性格悪い?
冤罪とはいえ、服役していた人と結婚するような人が、日常が単調だから、という理由で浮気をする?
と、ちょっと納得しがたいと感じました。現実の世界はそういうこともあるんでしょうけど。

堂野の身に起こったことが壮絶すぎて、これはハッピーエンドなのかも疑問です。
私なら、投げやりになってしまいそうな状況。
受け入れがたい部分もあるので何度も読み返したい部類ではないですが、「次どうなるの?」「堂野はどうするの?」と、一気に読んでしまう作品でした。
おすすめ。
誰に?あ、BL大丈夫な人に。